世界規模でベジタリアンやヴィーガンの食事が浸透する中で、これまで以上に菜食を基本とする和食に関心が寄せられています。
そんなグローバル化する和食の真髄でもある発酵調味料にこだわり、地元の無農薬野菜で作る野菜料理を味わえる和食店「蔵精」が、千葉・南房総の大多喜町にあります。
店名は蔵についた麹菌を蔵の妖精に喩えて「蔵精」
アウトドアスポットとしても人気の養老渓谷もある大多喜町は、戦国時代～江戸時代前期の武将であり徳川氏の家臣・本多忠勝がいた大多喜城下町で、現在も古い屋敷や蔵が残る町並みが広がります。そんな町の雰囲気に調和する蔵造り風の「蔵精」を、オーナーの横山精一さん・陽子さん夫妻がオープンしたのは8年前のこと。調理場に立つ精一さんはニューヨークで約19年を過ごし、現地の日本料理店で板前として従事して働いていました。
「蔵精」オーナーの横山精一さん・陽子さん夫妻。精一さんが調理場に立ち、陽子さんは接客を担当しています
「大学を卒業して、住んでみたいというそれだけの理由でニューヨークへ。そこで妻と出会い、子どもが生まれました。はじめは現地でお店をやろうかと考えていたんですけど、日本語を使ってベストな仕事をしたいという妻の希望で、帰国することにしたんです。発酵食品には海外にいた頃から興味があって、日本で仕事をするなら、味噌を作るところから一度しっかりやってみようと考えていました。外から見ると、日本の特徴ってそういうところにあるように思えたんですよね。それで、昔からある日本の食文化をフィーチャーするのであれば、やはり田舎に住むのがいいだろうということで、妻の実家からそう遠くないこの大多喜町に縁があって店を構えることになりました」
使用する発酵調味料は、すべて天然麹菌を使用したものから厳選。買い付けする製品のみならず、自家製味噌を仕込んだり、地域の仲間で使った醤油なども使われています。動物性食品を使用せずに、地元の季節野菜を中心にした料理は、ヴィーガンの人でも安心して楽しむことができます。
「お店では郷土料理をベースにした和食を現代風にアレンジしたメニューを提供しています。確かに和食であり菜食なんですが、特にヴィーガンやマクロビオティックを謳っているわけではないんですよ。僕自身、ニューヨーク時代からゆるく菜食で、お店をやるのであれば何か特徴があったほうが面白いなと思ったんです。それに、単品でチーズも出しているんです。近くにあるチーズ工房『千』のものなのですが、工房の方といろいろと話をするうちに、そのチーズへのピュアな想いと『蔵精』の精神に共通点があると気付いたんですね。実際、良質な肥料で育った牛の新鮮なミルクでできたチーズはすっきりとした味わいで、和食や日本酒との相性が抜群なんですよ」
料理に合わせる自然酒のラインナップもこの店ならではのもの。大多喜町に隣接するいすみ市の蔵元・木戸泉酒造のワインのように軽い口当たりの純米生酒「アフス」や、酵母のみならず麹にまで天然にこだわった酒造りをする香取郡の寺田本家が造る無濾過自然酒「五人娘」など、千葉の銘酒を取りそろえています。
カウンター席10席のみのこじんまりとした店内。陽子さんの明るく丁寧な接客が心地良い
「日本に古くから伝わる食文化を現代に伝えながら、まずは来ていただいたお客様に楽しんでいただくことが一番。でも、この店で提供している野菜料理、チーズ、お酒は、どれも世界に通用するクオリティーだと信じているんですよ。今後は、その魅力を千葉の田舎から世界にも発信していきですね。」
ランチは御膳、ディナー（予約制）はコースを中心に料理を提供。6月後半からは青梅、きゅうり、なす、とうもろこしなどの野菜の料理が献立に並ぶ予定です。
【ショップ情報】
蔵精
住所：千葉県夷隅郡大多喜町桜台32
電話：0470-82-4949
営業時間：ランチ 11:30～14:30（予約優先）、ディナー 17:30～21:00（2日前までの予約制）
定休日：月（ランチのみ）、火曜日（臨時休業あり）※1～3月は月、火曜日
>>連載【千葉・南房総のゆる旅】
そんなグローバル化する和食の真髄でもある発酵調味料にこだわり、地元の無農薬野菜で作る野菜料理を味わえる和食店「蔵精」が、千葉・南房総の大多喜町にあります。
店名は蔵についた麹菌を蔵の妖精に喩えて「蔵精」
アウトドアスポットとしても人気の養老渓谷もある大多喜町は、戦国時代～江戸時代前期の武将であり徳川氏の家臣・本多忠勝がいた大多喜城下町で、現在も古い屋敷や蔵が残る町並みが広がります。そんな町の雰囲気に調和する蔵造り風の「蔵精」を、オーナーの横山精一さん・陽子さん夫妻がオープンしたのは8年前のこと。調理場に立つ精一さんはニューヨークで約19年を過ごし、現地の日本料理店で板前として従事して働いていました。
「蔵精」オーナーの横山精一さん・陽子さん夫妻。精一さんが調理場に立ち、陽子さんは接客を担当しています
「大学を卒業して、住んでみたいというそれだけの理由でニューヨークへ。そこで妻と出会い、子どもが生まれました。はじめは現地でお店をやろうかと考えていたんですけど、日本語を使ってベストな仕事をしたいという妻の希望で、帰国することにしたんです。発酵食品には海外にいた頃から興味があって、日本で仕事をするなら、味噌を作るところから一度しっかりやってみようと考えていました。外から見ると、日本の特徴ってそういうところにあるように思えたんですよね。それで、昔からある日本の食文化をフィーチャーするのであれば、やはり田舎に住むのがいいだろうということで、妻の実家からそう遠くないこの大多喜町に縁があって店を構えることになりました」
使用する発酵調味料は、すべて天然麹菌を使用したものから厳選。買い付けする製品のみならず、自家製味噌を仕込んだり、地域の仲間で使った醤油なども使われています。動物性食品を使用せずに、地元の季節野菜を中心にした料理は、ヴィーガンの人でも安心して楽しむことができます。
「お店では郷土料理をベースにした和食を現代風にアレンジしたメニューを提供しています。確かに和食であり菜食なんですが、特にヴィーガンやマクロビオティックを謳っているわけではないんですよ。僕自身、ニューヨーク時代からゆるく菜食で、お店をやるのであれば何か特徴があったほうが面白いなと思ったんです。それに、単品でチーズも出しているんです。近くにあるチーズ工房『千』のものなのですが、工房の方といろいろと話をするうちに、そのチーズへのピュアな想いと『蔵精』の精神に共通点があると気付いたんですね。実際、良質な肥料で育った牛の新鮮なミルクでできたチーズはすっきりとした味わいで、和食や日本酒との相性が抜群なんですよ」
料理に合わせる自然酒のラインナップもこの店ならではのもの。大多喜町に隣接するいすみ市の蔵元・木戸泉酒造のワインのように軽い口当たりの純米生酒「アフス」や、酵母のみならず麹にまで天然にこだわった酒造りをする香取郡の寺田本家が造る無濾過自然酒「五人娘」など、千葉の銘酒を取りそろえています。
カウンター席10席のみのこじんまりとした店内。陽子さんの明るく丁寧な接客が心地良い
「日本に古くから伝わる食文化を現代に伝えながら、まずは来ていただいたお客様に楽しんでいただくことが一番。でも、この店で提供している野菜料理、チーズ、お酒は、どれも世界に通用するクオリティーだと信じているんですよ。今後は、その魅力を千葉の田舎から世界にも発信していきですね。」
ランチは御膳、ディナー（予約制）はコースを中心に料理を提供。6月後半からは青梅、きゅうり、なす、とうもろこしなどの野菜の料理が献立に並ぶ予定です。
【ショップ情報】
蔵精
住所：千葉県夷隅郡大多喜町桜台32
電話：0470-82-4949
営業時間：ランチ 11:30～14:30（予約優先）、ディナー 17:30～21:00（2日前までの予約制）
定休日：月（ランチのみ）、火曜日（臨時休業あり）※1～3月は月、火曜日
>>連載【千葉・南房総のゆる旅】
