高タンパク、低脂肪でミネラルが豊富というヘルシーさとともに、肉質自体のおいしさから、フランス料理では高級食材としてグルマンの間では話題になってきたエゾ鹿肉が、一般家庭の食材として人気が高まっている。
伊勢丹新宿店では今年の5月29日から6月18日まで地下のキッチンステージでエゾ鹿肉を使ったメニューをイートインで提案。さらに父の日のレシピとして同売り場の岩田晴美シェフによるエゾ鹿肉のレシピを添えて、地下の食料品売り場のI’s ミートセレクション・フレッシュマーケットで販売。夏の滋養食として「土用の鹿」を新しい味覚の冒険として提案した。
「エゾ鹿を含め、ジビエ自体がシーズンに入るのは狩猟が解禁される10月からのため、夏場は冷凍のロースの部位で対応しますが、ヘルシーな食材ということもあり、人気は年々高まっています。新宿店では約7年前からジビエのコンセイエを置き、楽しい食卓シーンを提案してきました。フォアグラやジビエをもっと身近な食材にと、ハイクオリティな食材とレシピが提供できるように提案してきました」と岩田シェフ。売り場では「エゾ鹿のソテー・栗のピューレ添え」など岩田シェフのフレンチメニューのレシピカードも用意されており、予約すれば調理法のレクチャーも随時行われている。
「ジビエに関しては本格的な料理を家庭で作られるお客さまからの要望が年々高まっており、エゾ鹿に関しても仕入れベースで前年比2ケタ増で伸びています。電話などでの問い合わせも多く、シーズンにはイノシシなどのニーズもあり、遠方からジビエの食材を求めて来店されるお客さまもいらっしゃいます」と伊勢丹新宿店・食品・レストラン営業部フレッシュマーケット・小宮俊之セールスマネージャー。
猟師の間では昔から新鮮な青草や新緑を餌にした夏鹿の美味は言われてきたが、秋から冬の猟期に捕られたジビエの本格シーズンのエゾ鹿の肉質は、臭みがなく家庭でも調理しやすく、レアのステーキにぴったりだという。ヘルシー志向が高まる中、食卓の新しい味覚として、エゾ鹿が新しい市場を開拓するか要注目だ。