映画監督のチャン・イーモウ(張芸謀)は1951年11月14日生まれ。中国陝西省西安出身。
文化大革命で下放されると、農民として3年間、さらに工場で7年間勤めることになる。82年に北京映画学院撮影科を卒業すると、広西映画製作会社に入社。84年に撮影監督を手掛けた『黄色い大地』が公開されると、金鶏賞最優秀撮影賞を受賞した。87年には所長の呉天明が監督を手掛けた『古井戸』で主役を演じ、第2回東京国際映画祭男優賞を受賞している。
そんなチャンにとって出世作となったのが、87年に公開された『紅いコーリャン』だった。赤を基調とした鮮やかな色彩美に溢れる映像は、国内外で高い評価を受け、ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。その後に発表された『紅夢』『上海ルージュ』とともに“紅三部作”と呼ばれ、チャンの名を一躍映画界に知れ渡らせることになる。92年公開の『秋菊の物語』では、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。この時、主役の秋菊は、紅いコーリャン時代からチャン作品に主演してきたコン・リーが演じており、同映画祭の主演女優賞を受賞した。しかし、そんな2人の公私に渡る蜜月は、95年に破局している。
その後も、94年には『活きる』でカンヌ国際映画祭審査員グランプリを、99年には『あの子を探して』でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞。00年にはオペラ『トゥーランドット』の演出を担当している。また、この頃からチャンは武侠映画を撮影するようになり、02年には『HERO』でベルリン国際映画祭 アルフレッド・バウアー賞を受賞。05年には『単騎、千里を走る。』を公開し、高倉健が主演を演じたことで日本でも大きな話題となった。
08年の北京オリンピックでは、開会式と閉会式のチーフディレクターに就任。14年にはハリウッドに進出するとの発表があり、SFミステリー『長城』のクランクインが予定されている。
私生活では2度の結婚をしており、現在の妻との間には3人の子供を儲けている。しかし、これが1人っ子政策に反しているとされ、1億円を超える罰金の支払いが命じられた。