各ブックストアがFASHION HEADLINE読者に向けて「今読むべき1冊」をコンシェルジュ。本日は洋書を専門に扱う原宿のブックショップ「シェルフ(Shelf)」(東京都渋谷区神宮前3-7-4)が選ぶ書籍をご紹介します。
■『THE WHITENESS OF THE WHALE』
ポール・グラハム(Paul Graham)
イギリス人フォトグラファー、ポール・グラハムの作品集。本書には、98年から11年までに出版された『American Night』『a shimmer of possibility』そして『The Present』の3作品を収録。
この3つの写真集はそれぞれ現代アメリカの社会組織についての熟考でありながら、今存在する世界の探求でもある。『American Night』(03年刊)は光と闇、存在と欠落などの対立を通してアメリカの社会的格差を探求する作品。眩しい光の中で撮影された、ほぼ何も見えないイメージや、その対照としてカリフォルニアの青空の下で住宅街が色濃く撮られた作品が収録されている。
『a shimmer of possibility』(07年刊)は小さきものや偶然の美しさを謳う叙事詩である。12枚の写真が映画的な俳句となり、アメリカの日常を描く。写真の中でバスを待ったり、芝生を刈ったり、タバコを吸ったりする人々の何気ない瞬間を捉えた1冊だ。
また、『THE WHITENESS OF THE WHALE』は、11年の「パリ・フォトブック・プライズ(Paris Photo Book Prize)」を受賞。“過去15年間で1番重要なフォトブック”と表彰された。
【書籍情報】
『THE WHITENESS OF THE WHALE』
著者:Paul Graham
出版社:MACK
言語:英語
ハードカバー/240ページ/300x240mm
発刊:2015年
価格:1万1,000円