夜のしじまを彩る蝉の声が鈴虫の羽音へと変わってきたら、夏はもう終わりに近づいている証拠。クラシカルな雰囲気が似合うシーズンに向けて、部屋の装いも秋仕様にスイッチさせてはいかがだろう?
烏丸御池の「セブンティービーアンティークス(70B ANTIQUES)」(京都市中京区三条通高倉東入桝屋町53-1)でなら、照明や食器棚などの家具から、カトラリーやお菓子缶の小物まで、他店と比べてリーズナブルな価格で入手できるので、模様替えが何倍にも楽しくなること必至だ。
同店がオープンしたのは2012年3月のこと。以来、本場イギリスのアンティーク業界で経験を積んだオーナーが、他店とは全く異なる独自のルートを駆使した買い付けを行い、他のどんな店でもみることができないような品を集め続けている。加えて、家具類のグラつきやガタつきを修繕は現地で修業した専門スタッフが担当し、一度解体して組み直すことで、永く愛用できる状態に整えてくれるのもうれしい。
店内には、1860年代から1960年代のイギリスやフランス、ベルギー、オランダのものを中心にセレクトしたアイテムが所狭しと並ぶ。アイテムはすべて現地で買い付けて倉庫に保管しているが、聞けば、月1でコンテナが到着するたびに倉庫はシャッターすれすれまで満杯になるとのこと。しかも、そこから店への搬入は週に約5日。理由を尋ねると、「回転が早いんです。毎日新しいアイテムが投入されているので、一週間後、一ヶ月後には店の雰囲気ががらりと変わるのが常です」とショップスタッフ。センスの良い品がそろっている上、安価な価格設定ゆえ、常連も一見さんもあれもこれもと買い占めたくなるのだろう。
二者択一できずに困ったときや商品の蘊蓄を知りたいときは、店員と会話に花を咲かすのもまた楽しい。「スタッフは1人ひとり好みが全く異なるんですよ」と教えてくれたスタッフにイチオシ商品を問うと、レジ前にぶらさがった店一ゴージャスなシャンデリア(6万9,875円)や個性的なデザインの「マッスルミラー」(2万3,750円)を挙げてくれたが、尋ねた相手が違えばきっと答えも違っていただろう。ということは、自分と似た趣味の店員を見つけてコミュニケーションを深めれば、自ずとアンティークへの造詣も深まってくるはず。そう。この店は、何気なくふらと立ち寄り、「やあやあまた来たよ」の挨拶からはじまるひと時までをも満喫できる店なのだ。
人と人とが時代を超えてつながり、買い物を通して店員との絆が深まる。いわばアンティークとは、人間の心により豊かな色彩をもたらすものなのかもしれない。