「ディーゼル ブラック ゴールド(DIESEL BLACK GOLD、以下DBG)」のクリエーティブディレクターに就任し、初のメンズコレクションを発表した、アンドレアス・メルボスタッド(Andreas Melbostad)と話す機会を得た。ディーゼルとの関係、今後の展開などを気さくに語るアンドレアス。ざっくばらんな人柄こそ、その洗練されたクリエーティブの源と感じさせる夜だった。
――メンズのショーを終えて、感触はいかがでしたか。
自身で手掛けたメンズウエアコレクションが初めてだったので、とてもエキサイティングでした。ピッティウオモは伝統的なステージですが、そこでハードなエッジの効いたコレクションを見せることができたのは、とても良かったと思います。
――ウィメンズとも共通したものを感じましたが、それは意識されていましたか?
今回は初めて手掛けるメンズコレクションでしたので、ウィメンズと共通した世界観というのは意識しました。今後はそれぞれに発展していくかもしれませんが、今回は、共通したプラットフォームのブランドであるということをプレゼンテーションする機会ととらえて、あえてこのようなテイストにしました。
――「それぞれ発展していくかも」という点について、具体的なアイデアをお持ちでしょうか?
メンズ、ウィメンズどちらにしても、DBGはアドバンスト・コンテンポラリー・デザイナーズブランドにしたいと思っています。ブランドのコアな部分として、デニム&レザーというのは共通していますが、ウィメンズであればドレスなどフェミニンな要素を入れますし、メンズであればTシャツなどカジュアルなテイストも入れつつ、テーラードジャケットやスーツのセットアップ、シューズやバッグなどのアクセサリーも展開していきたいと思っています。
――ご自身のバックグラウンドにラグジュアリーブランドでのキャリアがあるわけですが、DBGを始めるにあたって、挑戦したいという気持ちがあったのでしょうか。
いいえ、ディーゼルの創始者であるレンツォ・ロッソに会って、DBGに対する彼の情熱と、彼がやりたいと思っていることに共感したんです。私が何をすればいいか、という点に確信が持てたので、どちらかと言えば直感的にこのオファーを受けました。
――彼からDBGの具体的な方向性を提示されたのか、それともご自身に抽象的なイメージがあったのか、あったとしたら、それはどんなブランド感だったのでしょう?
レンツォから具体的な提示があったわけではありません。彼は私の過去の仕事を見て、私の持つ感性がDBGにぴったりで、私がやるべきだと確信を持っていたようです。ですから、意識してDBGっぽくしようとしなくても、レザーやデニムのマテリアルや、ディーゼル社が持つ縫製技術を通して、私がデザインしたものが、有機的なプロセスをたどって自然にブランド“らしく”なっていくのです。
2/2に続く。