――参加される前は、ディーゼルに対してどんなイメージをお持ちでしたか?
第一に、有名なイタリアのブランドだということ(笑)。それからいろんな素材を上手くミックスしているということ。1990年代中頃のロンドンのストリートは、“事件”が溢れた良い時代でしたが、その筆頭がこのディーゼルの登場でしょう。ですから、DBGのショーをニューヨークでやるというのは、違うテリトリーに踏み込むような気がして面白いですね。企業としても新規開拓といった感じでしょうか。
――ディーゼルの通常のラインとはどんな風に違うのですか?
全く別の組織で行う、別のブランドです。そのために別々のディレクターに任せているので、ディーゼル社の方向としても、私がディーゼルの通常ラインを意識する必要はないのですよ。
――なるほど。ただ消費者からすると、やはりディーゼルという同じ名前を冠しているブランドということで、どのようにブランディングするのか、という点に興味がありますね。
DBGは、ディーゼルとは組織もオフィスも別で、それぞれのオフィスには鍵も掛かっているから、簡単に行き来できないんです(笑)。ディーゼルは既にイメージが確立された有名ブランドですが、DBGは、ディーゼル社の中で設立されたばかりの小さな会社のようなもの。組織の構造も違いますし、作業の進め方も違います。もちろんターゲットも違います。
DBGはディーゼルのDNAと創造性を受け継いでいますが、洋服における探究心や、使う素材の種類や、技術などはディーゼルと異なります。ディーゼルのDNAが宿るディーゼルとは違うタイプのプロダクトを生み出すことに貢献できると思います。
――コレクションを拝見すると、ディーゼルのロックな部分が底辺にありつつも、とてもエレガントで上質な、言ってみればハイブランドの匂いを感じました。ご自身はそういったことを意識してデザインされているのでしょうか?
バイカージャケットやフライポケットジーンズ、ミリタリージャケットなど、ディーゼルと共通するプロダクトはありますが、我々はカットや洋服の構造、生地にディーゼルとは違うテイストを盛り込みたいと思っていますし、多少のドレスアップは意識しています。ブランドの在り方もプロダクトのテイストも、ディーゼルよりスタティックで洗練されているのが、ディーゼル ブラック ゴールドの特徴だと思います。
洋服を作るということはデザイナーの表現方法であるわけですが、ディーゼルにおいては、プロダクトがより身近だと思います。身に付ける人とデザイナーを近付ける橋渡しができるのは、いいことですね。
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アンドレアス・メルボスタッドはノルウェー出身。ニコル・ファーリでデザイナーとしてのキャリアをスタート。ギ・ラロッシュ、イヴ・サンローランリヴゴーシュのコレクションに携わり、ニナ・リッチ、ダナキャランといったブランドに在籍。2012年10月、ディーゼル ブラック ゴールド ウィメンズラインのクリエーティブディレクター、13年9月には、ディーゼル ブラック ゴールド統括クリエーティブディレクターに就任。14-15AWシーズンにおいてウィメンズに加え、初のメンズコレクションをピッティウオモにて発表。