塚本香編集長に、『エル・ジャポン』は今後どのように進化するのか聞いてみた。
「モード誌自体の作り方が大きく変わることはないと思いますが、デジタルとの融合は進み、その表現方法を見出すことで、新しい媒体の機能を備えるようになると思います。今年の初めに、ELLE UKのロレーン・キャンディ編集長は、誌面作りをまるで変えた。ウエル(美しいビジュアルで提案するモードページ)ページが変わったわけではない。手を付けたのは主に情報のページでした」
例えば、雑誌のカバー(表紙)撮影は、webでは撮影のメイキングを紹介し、カバーを飾ったセレブからのメッセージを視聴できる。音楽ページは、紹介している曲の内1曲だけ聞ける仕組みを作る。メイクのページはwebとの相性が良く、雑誌で分割写真で表現していたことが、ムービーでは簡単に手順やポイントが流れの中で紹介できる。インスタグラムの活用は、写真をインスタグラム風に加工するだけではなく、誌面に掲載された写真が、そこでも見られる仕組みを構築し、誌面に掲載した写真以外も追加情報として補足されているという具合だ。
これまで紙媒体とwebは、記事作りにおいて連動というより流用する関係にあったが、今後は、一つのテーマを、スチールとムービーのチームが共に打ち合わせし、どうリンクしていくか考える時代が来ていると、塚本編集長は力説した。
紙媒体は、デジタルに取って代わられるのではと危惧するのではなく、相変わらず美しいビジュアルを追求し表現する役割を持ち続け、そのコンテンツをタブレット、スマホ、ソージャルメディアなど、どのプラットフォームで見せていくのが有効か考えればいい。雑誌とwebの編集部が一つになり、新しいチームの編成を考えていかなければいけない時期になったようだ。
(9/12に続く。『マリ・クレール』が創刊。)