5月23日から26日に掛けて、アートフェア「アート・バーゼル香港」が香港ワンチャイ地区のコンヴェンションセンター(HKCEC)にて開催された。同センターは雑然としたショッピングモールから繋がる、いかにも“香港らしい”立地。
昨年まで行われていた「アート香港」を、スイス・バーゼルや米マイアミで開催されている世界最大規模の現代アートフェア「アート・バーゼル」が買収。アジア初となる「アート・バーゼル」開催となった。
今展には35ヶ国から245のギャラリーが出展。うち半数以上をアジアと環太平洋地域からで、扱うアーティスト数は3,000人以上に上る。
日本からはミヅマアートギャラリー、小山登美男ギャラリー、オオタファインアーツ、カイカイキキギャラリー、スカイ・ザ・バスハウス、チバユミコアソシエーツ、タカイシイギャラリー、アラタニウラノ、ナンズカなど22ギャラリーが参加。
アラタニウラノは、「昨年から客層が顕著に変わり、西欧の来場客が増えている。昨年まで出展していたにも関わらず、追い出されてしまったギャラリーもある」と話す。
今回は新しい試みとして、日本とヨーロッパのギャラリーが協業して展示する企画が見られた。オオタファインアーツは隣ブースのロンドンのヴィクトリア・ミロ(Victoria Miro)ギャラリーとコラボレーションし、両ブースを使用して草間彌生の個展を大々的に見せた。また、ナンズカはドレスデンとベルリンが拠点のグブードラー・リーマン(Geburder Lehmann)ギャラリーと共同で出展。こちらは、完全に二つのギャラリーの作家が入り交じって共存するスペースとなった。
全体の会場構成は「ギャラリー」「インサイト」「ディスカバリー」の3セクションに区画。ギャラリーセクションでは、171のギャラリーが通常の展示を行い、インサイトセクションではアジア・環太平洋地域の47ギャラリーが特別キュレーションにより同地域美術について企画展示を実施した。
ディスカバリーセクションでは27のギャラリーが若手アーティスト達の作品を披露。また2万5,000米ドルが授与される「ディスカバリー賞」も開催された。同賞を勝ち取ったのはベルリンとルーマニア・クルジをベースにするギャラリー・プラン・ビー(Galeria Plan B)が出品した、ナヴィッド・ナー+アドリアン・ゲニエ(Navid Nuur+Adrian Ghenie)による作品『ザ・ポシビリティー・オブ・パープル(The Possibility of Purple)』。“ペインティング”をテーマに据えた作品で、抽象と具体、表象と原型、形と記憶の相反する二つの立場から、お互いに「対話」をしながら作り上げられたインスタレーションだ。壁掛けタイプのペインティング作品はアートフェアの主力商品でもある。
2/2に続く。