ピッティ・イマジネ・ウオモ(以下ピッティ・ウオモ)では毎回、招待デザイナーとして若手デザイナーにランウェイ、エキジビションのステージが用意されている。今回はアフリカをベースにグローバルなセールスを展開する4ブランド、レディスのトーマス・テイト、「キルガー」のカルロ・ブランデッリのコレクションが紹介された。
●アフリカの新星デザイナーたちのエシカルな流れ
今回のゲストネーションとしてピックアップされた「アフリカの新星たち」はITCエシカル・ファッション・イニシアチブの協力のもと開催。今回のピッティ・ウオモのテーマとしてカラーがクローズアップされ、バティック、トライバルなどの柄がトレンドテーマのひとつとして継続しており、前々回のピッティでゲストデザイナーとして招待したヘイシャンイタリアン、ステラジーンのアフリカンプリントを使ったコレクションなどもマーケットで好調なことからも、タイムリーな企画となった。
ランウェイを披露した4つのブランドは、2013秋冬で東京コレクションでも作品を発表したアンゴラのデュオデザイナーによる「プロジェクトメンタル(PROJECT MENTAL)」、ナイジェリアの「オレンジカルチャー(Orange Culture)」、南アフリカの「MaXhosa by Laduma」、コートジボワールと英国の国籍を持つデザイナーの「DENT DE MAN」。それぞれ、英国サビルローのテクニックや、ニット、トライバルな模様などを現代のストリート、モダンアートの視点でインパクトのあるコレクションとなった。特にフィナーレを飾ったDENT DE MANは、GQイタリアとL’Uomo Vogueが推薦する注目ブランドを紹介する「レイテスト・バズ」のブースでもフィーチャーされ、ジャワのバティックプリントを使ったラグジュアリーなスタイルが大きな注目を集めた。
●トーマス・テイト
ピッティ・ウオモが毎回招待するレディスデザイナーとして今回選ばれたのは2014年度のLVMHヤングファッションデザイナー賞を受賞したカナダ人デザイナーのトーマス・テイト(Thomas Tait)。ボーボリ公園の会場での展示は、アーカイブというファッション全体の流れを意識してか、彼がこの数シーズンロンドンコレクションで発表してきたアイテムを、イタリアの技術を使って再確認したコレクションのエキジビション。ミニマムな展示で自身のデザインの本質を伝えようとするマスマーケティングとアートのバランスを計ったイベントとなった。
●カルロ・ブランデッリ
ピッティ・ウオモが注目する次世代のメンズデザイナーとしてピックアップされたのはサビルローの技術を受け継ぐ、アングロイタリアンデザイナーのカルロ・ブランデッリ(Carlo Brandelli)。メディチ・リカルディ館の中庭で行われたエキジビションは、彼の手掛ける「キルガー(KILGOUR)」ブランドのシグニチャースタイルを、ガラスと鏡を使ったアーティフィシャルなインスタレーションで発表。軽さと繊細さを極度に追求したエレガンスなサマージャケットが、フィレンツェの歴史ある建造物のなかで風に揺れるインスタレーションは、メンズファッションのジェンダーを超えた時代性を提示しているかのよう。
--次回、ピッティウオモ2016春夏の4/4では、白眉のコレクションを発表した期待のデザイナー、アーサー・アーベッサーなどのコレクションをレポート
■text:ファッションヘッドライン編集顧問 野田達哉
■ピッティウオモ2016春夏レポート
--“見えない”時代のメンズファッションはアーカイブがトレンド 1/4
--伊ファッションの歴史を紐解くC.P.カンパニー、ニノ・チェルッティのアーカイブ展 2/4
--注目の若手デザイナー、アーサー・アーべッサーとカサマードレ 4/4