12日、千代田区神田須田町の万世橋高架橋に14日に開業するJR東日本ステーションリテイリングの商業施設 「マーチエキュート(mAAch ecute)神田万世橋」(東京都千代田区神田須田町1-25-4)の内覧会が開かれた。
同施設は、旧万世橋駅のホームや階段などの遺構を再生する、新形態の商業施設。JR中央線神田と御茶ノ水の間、屈指の繁華街だった須田町交差点前に1912(明治45)年に開業した万世橋駅高架橋を、歴史や記憶を活かしながら新たに生まれ変わらせるというものだ。「歴史的な重なりという縦の軸と、地域への展開という横の広がりの両方を担う施設を目指した」とJR東日本ステーションリテイリング代表取締役社長の三井剛氏は語る。
赤レンガ造りの美しく力強いアーチが連続する景観は、長い年月を経てこの地域に定着してきたもの。形状は大きく変えることなく、凹凸のあるレンガの表情とともに残されている。リノベーションのコンセプトとして掲げられた「万世橋駅サロン」のもと、ここに訪れる人の知的好奇心を刺激するような嗜好性の高い常設ショップと期間限定ショップ「佇マイ」の計11ショップが集結。神田川に面して北側のオープンデッキでつながるエリアにはセレクトショップとカフェを併設した「ハルタ(haluta)」、本の販売やデジタルコンテンツを提供して周辺エリアの魅力を発信する「ライブラリー(LIBRARY)」など4ショップが出店。
レンガアーチが通りに並ぶ南側エリアには、オーナー自ら産地に足を運びセレクトしたワインを販売する「ヴィノシティ・ドミ(VINOSITY domi)」、世界中から農園単位で生豆を選別するコーヒー専門店「オブスキュラ・コーヒー・ロースターズ(OBSCURA COFFEE ROASTERS)」など、個性的なショップが路面店のように並ぶ。
そして、施設の一つの目玉は2階の展望カフェ・デッキ。作られた西暦年で呼ばれる「1912階段」か「1935階段」を登ってアプローチすると、ガラス張りの明るいスペースへと出る。端には旧万世橋駅時代のプラットホームを整備し、展望デッキのある「2013プラットホーム」を設置。隣には、千代田区のアートセンター「アーツ千代田3331」の企画にかかわったコマンドNがプロデュースするカフェ「N3331」がオープン。いずれも中央線の上下線の通る線路に挟まれたスペースで、車両が通過する様子を間近に見ることができる。
「神田の価値や楽しさを感じてもらうことで、まちづくりのお手伝いをしたい。そして、神田と日本を元気にしたい」と三井氏。オープニング当日に行われるイベント以降も、街歩きやワークショップなどの取り組みを通じ、周辺エリアの魅力や日本の文化を発信する予定だという。