今秋開催が予定されている十和田奥入瀬芸術祭の概要が発表された。2日に東京・末広町の3331アーツ千代田で行われた記者発表には、同イベント実行委員会会長の小山田久十和田市長、藤浩志アーティスティックディレクター、参加アーティストらが出席した。
芸術祭タイトルは「サバイブ(SURVIVE)」に決定。十和田市現代美術館副館長・美術家の藤氏は「何かが十和田奥入瀬で生まれ、育っていくような芸術祭にしたいという思いを込めた。会期中美術家だけでなく、ジャンルを超えたさまざまなアーティストが参加し、十和田奥入瀬という地域でどういう表現が可能になるのか探っていく」と説明。
企画の一例として、石田千、小林エリカ、小野正嗣の3作家が地域の歴史や自然を取材しながらものがたり集を創作中であることを紹介。作品は書籍化も予定されており、写真を畠山直哉が手掛け、エディトリアルディレクションを影山裕樹が担当する。
キュレーターの小澤慶介と服部浩之は、展示内容について説明した。地域全体を一つの舞台として捉え、メイン会場を十和田市現代美術館、水産保養所、十和田湖遊覧船に設定。美術館では、絵画や写真、映像インスタレーションなど「時」を表現した現代アート作品を展示。マーカス・コーツの鳥のさえずりをモチーフとした作品や、ラグナル・キャルタンソンの雪原でのパフォーマンスの映像など、周辺の自然と美術館をつなぐような作品が並ぶという。
かつてホテルとして使用されていた水産保養所では、サウンドアーティストの梅田哲也と5人組のパフォーマンスグループ、コンタクトゴンゾ、志賀理江子のアーティスト3組が、建物そのものをアート作品として再生中。また十和田湖では、遊覧船の中で音楽を体験できる企画を予定している。
また、参加アーティストの1人の宮永愛子は、展示予定のサウンドインスタレーションについて紹介。宮永はこの作品のために自ら釉薬(ゆうやく)を調合。陶器の表面に作り出される“貫入(ひび状の模様)”が変化する際に発する音を楽しむ作品を制作した。「見るためというより耳をすまして鑑賞する作品。それは流れ星のような音で、言葉では説明しにくいので、ぜひ十和田に耳をすませに来てほしい」と宮永氏。
奈良美智は、初めて音楽フェスをプロデュースすることを発表。「(一般的な)音楽フェスではなく、キャンプ場で皆が輪になって火を囲んで、一体感が生まれるようなイベントにしたい。包み込まれるような雰囲気で、そこから何かを持って帰れるような、子守歌のようなイメージ」と語る。既に大友良英とヨック(YOK)の参加が決定している。
【イベント情報】
十和田奥入瀬芸術祭
第1会場:十和田市現代美術館他
第2開場:水産保養所(旧湯治の宿おいらせ)、星野リゾート奥入瀬渓流ホテル、奥入瀬渓流館、十和田湖遊覧船他
会期:9月21日から11月24日
休場日:月曜日(月曜が祝日の場合はその翌日)
会場時間:第1会場9:00から17:00、第2開場10:00から16:00(ともに入場は閉場の30分前まで)
観覧料:セット券2,000円(予定)、会場別のチケットも販売予定、高校生以下無料
参加予定作家:石田千※、梅田哲也、岡本太郎、小野正嗣※、マーカス・コーツ、小林エリカ※、コンタクトゴンゾ、志賀理江子、志村信裕、柴田健治、管啓次郎※、高山明(Port B)、 武田慎平、奈良美智(特別協力)、畠山直哉※、mamoru、宮永愛子、山本修路他(※印はものがたり集参加作家)