三越は「三越のおせち」を発表した。12月24日まで予約販売を受け付けている。30万円の高額おせちや、杉浦非水(ひすい)描くおせち、栄養大学監修のおせちまで同店限定80種類を含む、合計282種類のおせちを用意している。
「杉浦非水 『新玉(あらたま)』和洋二段」(4万5,000円)は、明治から昭和に掛け活躍したグラフィックデザイナー杉浦によって描かれた絵が重箱にあしらわれている。この絵は当時、同店PR誌『三越』正月号の表紙を飾った、和装女性をモチーフにした「新玉」(1926年発行)と、3羽の鶴を斬新なタッチで描いた「眞鶴」(1929年発行)。一の重には丸くて大粒の丹波篠山産の黒豆や、日本橋をイメージした印を焼き付けた厚焼き玉子など和の献立を、二の重にはハンガリー産の合鴨をを山梨県製の赤ワインで煮込んだ合鴨の赤ワイン煮など洋風の献立が入る。
杉浦は当時、呉服店から百貨店への変革を目指す三越の革新的な宣伝広告を築いた非凡なグラフィックデザイナーで、アールヌーボーなどの洋風表現を取り入れたポスターや広告などを次々と製作し、“三越の非水か、非水の三越か”といわれるほどのインパクトを世に与えたという。
老舗料亭の青柳からは、「和風おせち三段『古今』(自家製カラスミ、黒豆付)」(30万円)が登場。晴れやかな正月にふさわしい青柳の粋が凝縮されたすべてが手作りの特製おせち。同店の3代目主人である総料理長の小山裕久は、日本料理が培ってきた伝統を古今の技術を使い現代に蘇らせる名料理人。地元徳島の名物である鯛を使った様々な料理は有名で、海外における日本料理の知識や技術の普及も行い、その功により日本料理人としては唯一2012年度フランス共和国農事功労章オフィシエを受賞している。
また、三越食品フロア誕生100周年を迎え、各料理界の巨匠がコラボレーションした「和洋中おせち三段『百寿(HYAKUJU)』」(3万8,000円)を実現。和食、フレンチ、中華の料理界において、巨匠と呼ばれる3人の料理人がそれぞれ1段ずつ監修した。和食界からは上述の「青柳」主人・小山裕久、フレンチ界からは「ポンドール・イノ(Pont d'Or Inno)」のシェフ・井上旭、中華料理界からは「トゥーランドット游仙境」のオーナーシェフ・脇屋友詞。一の重には青柳による海老岩石しんじょや蝦夷鮑煮などの和の味を、二の重にはポントール・イノの合鴨スモーク黒糖風味、牛頬肉の赤ワイン煮などの洋風を、三の重にはトゥーランドット游仙境の黒須の酢豚、くるみ餡炊きなどが入る。
女子栄養大学の栄養クリニックの蒲池桂子教授が監修した「和洋二段おせち(野菜と魚介のムース仕立て付)」(3万3,000円)は、通常よりも薄味に仕上げ、カロリーに配慮したおせち。また、三越オリジナルおせちとして、固いものが食べにくい方に配慮した「やわらかおせち和風一段」(9,000円)、脂質や塩分を抑えた体にうれしい「選べるおせち」(1万円)も紹介している。