【スタイリスト10人に聞く】長谷川昭雄編: 本藍で無地、潔いYUKATA

2013.06.15

伊勢丹新宿店にてスタイリスト10人がデザインした浴衣が登場するポップアップイベント「ゆかたスタイリストメイド(STYLIST MADE)」が館1階ザ・ステージにて6月19日から25日まで開催される。(会期終了後は伊勢丹本館7階呉服で取り扱い)

ファッションヘッドラインでは、スタイリスト10人にインタビューを敢行!リレー形式でご紹介。

今回は、スタイリスト・長谷川昭雄氏。以前から浴衣に興味を持っていた長谷川氏。今回、本藍で先染めした糸によって織られた無地の浴衣を提案。天然素材ならではの風合いの良さを追求したシンプルな一着となっている。

ーー今回、取り入れた日本の染色・織の技法は?また、その技法を採用した理由は?

片貝木綿(かたがいもめん)の越後型染めという藍染めを取り入れた。藍は元々好きな色で、江戸らしいし、落ち着く色。数年前に浴衣を作ったのだが、その頃から無地で、できれば藍染めの浴衣が欲しかった。
藍染めは、紀元前からある染色技術で虫除けや抗菌など、いろいろ効能があると聞いている。暑い国で生まれたものだから、夏に向いている染めだと思う。今回はもの作りの背景を大事にするために、できるだけ天然の染めにこだわって制作した。

ーー本業のスタイリングと、洋服(今回は浴衣)をデザインすることの違いは?

浴衣はシルエットが単一だからなのか、今回特に違いはなかったと思う。以前、洋服のデザインに携わったことがあるが、その時は違いを感じた。ジャンルにもよると思うが、デザインは多くの人に着てもらえるように“広げる”作業。スタイリングは、こんな風になるんだよっていうサンプルを提示する作業で、広げるというよりはより具体化して“削っていく”作業だと思う。いずれもケースバイケース。

ーー実際に浴衣を制作して苦労した点、新しい発見などがあればお聞かせ下さい

特に苦労はなかった。和服の仕事はこれからもやってみたい。

ーー今後、スタイリングやデザインに取り入れていきたい日本の伝統の技は?

藍染め

ーーご自身が思う、一番浴衣が似合うかっこいい男性像は?

お相撲さん。

ーー浴衣をデザインさせたい国内外のデザイナーは?

浴衣に関しては、異ジャンルを交わらせることに興味はないので、洋服のデザイナーでは思いつかない。クラシックでシンプル、それで十分。浴衣を着て歩くこと自体、目立つ訳だから、出来るだけオーソドックスで地味にしていたい。

変わったことをして、その違和感がうまくいけばいいが、そうでない場合もある。あえて言うなら、パッと見たときにあまり違和感がないもの、例えば、落語家や相撲取りが着ている自分の名前入った浴衣、あれは面白い。わんぱく相撲の子供なんかに、好きなように浴衣を作らせたら面白いんじゃないかな。きっとかわいいと思う。

ーーご自身が浴衣でお出掛けした思い出の中で、一番印象的な出来事はどんなことですか。また、おすすめのシチュエーションやスポットはどこですか?

湯島にある酒場「シンスケ」。クラシックな店で日本酒を飲む時は浴衣がいいね。


【プロフィール】
1975年生まれ。喜多尾祥之氏に師事したのち、フリーランスのライター・スタイリストに。現在は創刊から携わる『モノクル(MONOCLE)』(英)と2012年5月にリニューアルした『ポパイ(POPEYE)』に従事している。
編集部
  • DIRECTION&STYLING 長谷川昭雄
  • スタイリスト・長谷川昭雄氏
  • 伊勢丹新宿店本館1階ザ・ステージの様子
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