工業デザイナーとして世界で活躍する傍ら、約30年間に渡り日本民藝館の三代目館長を務めた柳宗理の愛蔵品を始め、柳家から遺贈された陶磁器や染織品などが展示される特別展「柳宗理の見てきたもの」が東京・駒場の日本民藝館で11月21日まで開催されている。
本展では、儀式などで使用された絞りに代表される「アフリカの布」、民藝館の創立者であり、宗理の父でもある・宗悦(むねよし)が収集し一家の食卓で使用された富本憲吉や河井寛次郎、濱田庄司などの器、内山光弘が考案した折り紙「花紋折り」や正月や節句などの飾り物として使われた小形の凧「雛凧」など、宗理の創作活動の源となった民芸品の数々が展示される。
また、10月21日には記念コンサートが開催される他、11月2日にはプロダクトデザイナーで現・同館館長の深澤直人による記念講演会を開催。深澤の講演会は発表後、すぐに定員に達したという。(現在は受付終了)
柳宗理は1915年生まれ。40年に東京美術学校洋画科を卒業し、太平洋戦争後にデザインの研究を開始。57年、代表作「バタフライ・スツール」と「白磁土瓶」がミラノ・トリエンナーレで金賞を受賞。その後、ミラノ市近代美術館でデザイナー初の個展を開くなど国際的な活動を行う。78年、日本民藝館館長に就任。2011年12月に亡くなるまで「民藝館と現代社会を結びつけること」「民藝の美をどのように現代に蘇らせるか」を自らの使命として、展覧会の企画 やディスプレーを始め、ポスターや雑誌『民藝』のグラフィックなどを手掛けた。
【イベント情報】
特別展「柳宗理の見てきたもの」
会場:日本民藝館
住所:東京都目黒区駒場4-3-33
会期:11月21日まで
休館:月曜日(祝日の場合は、翌日休館)
料金:一般1,000円、大高生500円、中小生200円